2026.06.15
エッセイ
「複眼の思想」
戦略と言えば、「選択と集中」という言葉が浮かんで来るが、
これは「単眼思考」に陥りやすいリスクがあるのだ。
例えば、ホンダや日産が「EVシフト」で偏った戦略をとったが
トランプ大統領になって風向きが変わり、
補助金を減らされて膝元のテスラすら経営危機に面しているので
長期戦略の見直しを発表して「損切り」したのだ。
つまり、EVにシフトする「一本足打法」で業績拡大を目論んだが
トランプ大統領になって環境がガラリと変わったのだった。
ホンマ、「戦略と集中」という定石が通じないことが起こるのだ。
一方、トヨタは伝統的に「複眼の思想」と言っており、
何か一つに戦略を絞らない体質があるのだ。
自動車で言えば、
エンジン車、ハイブリッド車、燃料電池を含むEV車
と3種類に大別できるが、
トヨタはいずれも生産しており、地域の事情に合わせる
というグローバル戦略なのだ。
この戦略の始原は研究開発費だが、
2026年3月期の決算書から見る研究開発費は
国内7社の総額が3兆9,440億円の中で
トヨタは1兆3,700億円
ホンダは1兆2,000億円
と2社で約3分の2を占めており、他を圧倒しているのだ。
また、トヨタにはデンソーの研究開発で補完される面があるので
研究開発の分野がさらに広範囲になっているのだ。
このようにトヨタの「複眼の思想」を自社に取り込もうとすると
まず、営業利益を高めて研究開発費を多くしても儲かる体質にする
ということが大前提になるのだが、
一般の企業ではなかなか難しいのが現状である。
この現状を打破する為に
国は補助金や助成金を用意して「投資」を促すが、
審査が先行するので
設備にしても人材にしても後手になり易いのだ。
やはり、自力優先で行なわないとスピードが鈍るのだが、
その為には「儲かっている」という事が急務の課題なのだ。
では、「複眼の思想」を一般企業で実施する手法がないかと考えると
故福井社長が昭和50年にオイルショックの影響を受ける中
IBMが発表したオフコンを
「これなら、わしのポケットマネーで買ってやる」
と言って下さったことがヒントになるのだ。
このポケットマネーは誰にもある筈だが、
この使い方が千差万別なのだ。
例えば、ポケットマネーの許容額が月額数万円とすると
今やサブスクの時代なので結構な投資が出来て
人材育成にもつながる余地があるのだ。
「小さく生んで、大きく育てろ」と言いますが
例えば、「AI」を使いこなす人材を育成したいとすれば、
まず、助成金を活用して「AI」の基礎を学ばせば、
その方の視野が「AI」に向かうのだ。
助成金を活用すれば、費用は実質数万円で済む上に
「興味」を持てば成長のベースになるのだ。
弊社の場合、
三男が事業承継の前に「AI」の基礎を学んだが
助成金審査中に事業承継したので雇用保険に対象者でなくなり
補助金をもらえなかったが、
この受講のあと、自分で有料のAIと契約して、
業務に役立てているので人材育成になったと喜んでいるのだ。
肝腎の「複眼の思想」だが、
本業に直結することが基本であるべきだが、
弊社のように「AI」を取り入れて業務効率を上げる
ということも一案ではないかと考えている。
また、「AI」もそれぞれ得意分野があるようで、
一つに集約するのではなく、必要に応じて使い分ける時代と
思っているが、
これを実践すれば、
一人の業務範囲が格段に広がるのだ。
「AI」はドンドン進化するので、
ポケットマネーで人材育成に活用する
という思想を持てば、「時流」に適合しながら
「複眼の思想」
となって企業発展に大いに寄与すると確信するのだ。
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