2026.06.08
エッセイ
「大志」
サラリーマン時代の話ですが、
トヨタが販売店に「トヨタ方式」を展開するプロジェクトがあり
そのモデル店になった事があった。
当時のトヨタは販売店のシステム化には後ろ向きで
他系列では電話とFaxで展開するプロジェクトだったが、
例外的にうちはシステムを使うことが了承された。
モデル店になれるのは各系列で1社だが、
担当する国内物流部ではシステムを使うことで議論があった
と指導に来てくれた鍔本課長(当時)が教えてくれた。
そういう環境なので、先生の座学を真剣に聞き入った。
その中で、
「うれしい」・・3日で忘れる
「感激」・・・・3月で忘れる
「小感動」・・・3年で忘れる
「大感動」・・・一生忘れない
という尺度の話があった。
実際に新車保管の立体駐車場が完成して
新車の点検整備ラインの手筈も終わり
事務型もそれに合わせたスケジュール作りを行なった
が、現場に行くとライン整備が機能せず
従来のやり方のままだった。
この新車整備工場は役員も課長もいて一緒に座学を受けたが
設備が完成しても切り替える指示ができなかったのだ。
私は本社から工場への定期便に便乗して行ったのだが、
この状況に驚いた私は、早速、関係者を集めて
「サンダンス(立体駐車場)が完成して業界が注目している。
これから他社も見に来るので
これでは、福井社長の顔に泥を塗ることになる。
今すぐ始めよう!」
という主旨の檄を飛ばしたことがあった。
そして、ともかく、ライン整備が始まったが、
その後、見に来た国内物流部の方は
「ラインがピーンと張っていない」
と工程間の作業バランスが悪いと指摘された。
仮に、ライン整備が出来ていなかったと想像すると
国内物流部や同業他社の笑いものになっていたと
ゾッとしたのだ。
「人が変わる」ということは大変で
鍔本先生の座学で勉強した効果は「3日」だった
と実感したのだった。
「感激は3月で忘れる」というが
その時、座学を受けた全員がメモをとっていた筈だが、
メモをとった事すら忘れていたのだった。
確かに、「トヨタ方式」という大きなテーマを習ったのだが
多くの人は「やらされ」感で勉強したのかも知れない。
「小感動は3年で忘れる」と教えられたが
全社オンライン方式で整備計画を策定する方式だったので
新人もベテランも納期を入れた順に作業するようになり
システムとして安定して稼働して、
その後、トヨタがC80という営業所システムを展開する中に
システムで整備計画を行なうようになっていた。
「大感動は一生忘れない」という事だが
私自身は今も生活の中に「トヨタ方式」のエキスを取り入れ
サイクリックな生活スタイルを続けている。
私は‘95年から経営コンサルタントとして
多くのお客様と接して来た。
鍔本先生の尺度で見ると
「うれしい」レベルのお客様はすぐに契約が切れた
「感激」レベルのお客様は紹介して下さった
「小感動」レベルのお客様は長くお付き合いして下さった
「大感動」レベルのお客様はほんの一握りだが今もお付き合い
という状況だ。
ただ課題は
「大感動」が「大志」となってお客様の物になっているか
という点である。
「自分流」として、お客様が目指す「道」に取り入れて頂き
「大志」となって貫いて頂ければ最幸と思っている。
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