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2026.03.29

エッセイ

「ちょっとの差」

「ちょっとの差」

 

私が勤めたトヨタ系販売会社の社長は

「栩野君、何でもちょっとの差だよ」

と教えて下さいました。

 

この方は、仕事が順調な時に次のステップを踏んで

玩具問屋→中古外車販売→日産販売店→トヨタ販売店

とモータリゼーションの発展とともに蛻変を繰り返した方です。

 

「儲かっているうちに次の策」って

意外に難しいですね。

 

確かに、一代でトヨタ販売店まで昇り詰めた方の言葉ですが、

その「ちょっとの差」がケタ違いです。

 

私は、コンピュータを担当したいと言って採用して頂いたのですが、

昭和50年はオイルショックで景気が落ち込んでおり、

トヨタも社内もコンピュータ導入に反対していたのですが、

IBMが世界初のオフコンを発表した時に、

「これなら、わしのポケットマネーで買ってやる」

と言って契約して下さいました。

 

そして、「クルマが売れるコンピュータをつくれ」と

永遠のミッションを指示して下さいました。

 

その機種はバッチ処理でしたが、

給与計算や経理の販売統計などを作った後に

「車検DM」を作れという指示が出ました。

 

当時、販売店にコンピュータを導入している所は数少なく、

導入している会社は「DM」を発行している

と営業の方々が

「ないものねだり」

を言っていたのです。

 

そして、「車検DM」のハガキは電通にデザインして頂き、

他社の物とは格段の相違を感じるものに仕上げて下さいました。

 

普通に考えるとコンピュータの担当者がレイアウトするので、

デザインは線引き程度のお粗末な物なのですが、

カラーのイラストが入った物でした。

 

私は、これを大量に消費するので印刷会社と交渉して単価を下げて頂きました。

 

印刷会社にとっては

線引きであろうとカラーのイラストがあろうと原価に大差ないのです。

 

つまり、電通にデザインを委託するか否かの差。

 

これが大きくモノを言ったのです。

 

当時、新車販売は前年比70%程度でしたが、

サービスの売上は150%と増えたのです。

 

しかも、「車検」が多いので保険や代行手数料などの利益があるのです。

 

また、営業所から

「とっちゃん、知らん顔のお客がドンドン入ってくる」

という喜びの声が来る程「入れ食い」状態だったのです。

 

専務は「細部に神宿る」と教えてくださいましたが、

社長の「ちょっとの差」と相乗効果を発揮したのです。

 

私は社長や専務のお陰でいろいろ学びましたが、

「ちょっとの差」と「細部に神宿る」

の2つを常に心がけています。

 

お客様と長くお付き合い出来ているのは、

この2つの教えのお陰が大きいと感謝しています。

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